フライングゲットの発売が待ち遠しくもあり、今回のCDの売り上げがどれほどになるのかが気になったり気にならなかったりする次第であります。
昨年末からブームに火がついたAKB48ですが、流石に今が山頂かもしれません。今回のシングルも「Everyday、カチューシャ」より枚数は落ちると予想されていますが、今後もAKBが存続するのであれば、いかにしてファンの皆さんの興味を引いていくのか気になりますね。
【Bメジャー】Aメロ~Bメロ
|B|C#m|D#m|E |F#|G#m|A#dim|
|I |IIm |IIIm |IV |V |VI |VIIdim|
[前奏]
|B |G#m |E |C#7/F |F# |F#sus4 |F#|
|I |VIm |IV |II7/V♭|V |Vsus4 |V |
[Aメロ]
♪「ジリジリと日に焼いた~」※おそらくCD版は2回繰り返し
|B |G#m |C#m |F# |D#m |G#m |C#m C# |F#|
|I | Vim |IIm |V |IIIm |Vim |IIm II |V |
[Bメロ]
♪「僕は「どうして」と~」
|E |Em |D#m |Cdim7 |C#m |C# |F# |
|IV|IVm|IIIm |II♭dim7 |IIm |II |V |
[サビ]C#メジャーに転調
♪「アイスのときめき~」
|C# |C#M7/C |C#7/B |A#7|
|I | IM7/VII | I7/VI♭|VI7|
♪「さっきよりも」
|D#m |D#mM7/D |D#m7/C# |G#7/C|
|IIm |IImM7/II♭ |IIm7/I |V7/VII |
♪「アイスのときめき~」
|C# |C#M7/C |C#7/B |A#7|
|I | IM7/VII | I7/VI♭|VI7|
♪「一人で部屋を~」
|Fm |F |A#m |D#7 |F# |G# |D# |
|IVm |IV |VIm |II7 |IV |V |I |
まず先に申し上げておきます。「サビのコード進行はBOOWYの例の曲と同じではないか」という議論が盛んになされているようですがその通りです。同じコード進行という点において、それ以上私から申し上げることはないでしょう。ですからここでは、この類似点を指摘されたポイントに使われている「クリシェ」について私なりに思ったことなどを書いていこうと思います。
Yahoo!知恵袋で同様の質問について解答がなされていたので、回答者の方の例に挙げてくださっていた楽曲のコード進行などを挙げて少し説明してみましょう。クリシェの参考例として挙げられていた「THE YELLOW MONKEY-追憶のマーメイド」、「Mr.Children-OVER」のコード進行と比較してみます。
BOOWY-CLOUDY HEART
[サビ]【Aメジャー】
|A |AM7/G# |A7/G |F#7|Bm |BmM7/B♭|Bm7/G |E7/G#|
|I |IM7/VII |I7/VI♭ |VI7 |IIm |IImM7/II♭ |IIm7/VII♭|V7/VII|
THE YELLOW MONKEY-追憶のマーメイド
[サビ]【Aメジャー】
|A |AM7onG# |Em/G |F# |Bm |G | |E|
|I | IM7/VII |Vm/VII♭|VI |IIm |VII♭ | |V|
Mr.Children-OVER
[サビ]【B♭メジャー】
|B♭|B♭M7/A |B♭7/G |G7 |Cm |CmM7/B |Cm7/B♭ |F7/A |
|I |IM7/VII |I7/VI♭ |VI7|IIm |IImM7/II♭|IIm7/VII♭|V7/VII|
AKB48-アイスの口づけ
[サビ]【C#メジャー】
|C# |C#M7/C |C#7/B |A#7 |D#m|D#mM7/D |D#m7/C# |G#7/C|
|I | IM7/VII | I7/VI♭|VI7 |IIm |IImM7/II♭ |IIm7/I |V7/VII |
あたりまえですが、ベース音が半音づつ下がるクリシェにおいて使えるコード進行というのはほぼ同じです。そもそもクリシェという手法は、強調したいメロディーの反復に変化を付けるために使われるという効果を持っていると私は考えています。つまり、使えるメロディーも同じように限られてくるのです。
例えばイエモンの追憶のマーメイドでは
「ド#シラド# ド#レミド# ミミファ#ミレド ド#シラ#」
という薄い緑で印をつけた部分は「ド#」の音を中心に強く反復を意識させます。
同じようにMr.ChildrenのOVERでは
「レミ♭ファ レミ♭ファ レミ♭ファソソ#ーレミ♭ ドレミ♭ ドレミ♭ ドレミ♭フォミ♭レシ♭ド」
同じように「ミ♭」を中心として同じようなメロディーを構成しています。
ではAKB48のアイスの口づけを見てみます。
「ファファファ#ーファ ファファファ#ーファ ファファファ#ーファファ#ソ#ファ#ファ・・・」
すいませんが書いていて見難くてしょうがないのでやめます。簡単に書くと見て分かる通り、2つの音を中心にメロディーを組み立てています。後半は「ファ#とソ」を中心に同じような形を成しています。
BOOWYのCLOUDY HEARTも同じようにAメジャーの第3音である「ド#」を中心にメロディーを作っていますが、よく聞くとAKB48のアイスの口づけよりも前後に多くの音を使っています。アイスの口づけがたった2つの音を強調していたのに比べると、より凝っているとも言えるかもしれません。(曲の善し悪しではありません。あくまでも音のバリエーション的にです。)
この3つの曲に共通するのは「曲のキーとなる音の3番目の音を中心にメロディーが組み立てられているということ」です。ですが、別にキーの3番目の音を中心にメロディーを作らないと使えないわけではないわけです。コード感を維持しながら簡単に作るのであれば、Cメジャーで始めるとすれば少なくとも「ドミソ」のどれかの音を中心に組み立てれば良いわけですから。トニックの真ん中にある音を中心にメロディーを作るのは何か理由があるのではないかと考えることができます。
作ってみると分かりますが、このコードに合わせられるメロディーは本当に限られていますよね。それはともかく、ベース音(根音)からメロディー作り始めると…なかなかよさげなのができますね…ただありふれた感じになるかもしれません。
コードの一番上の音(第5音)を中心にメロディーを考えてみましょう。ただ、ここで気を付けたいのは、歌う人のことです。AKBの場合は最低音がmid2B辺り、最高音がhiCあたりにあるので、C#の第5音にあたるソ#から上への展開にあまり無理ができません。消去法的に第3音を中心に作ると、歌う方も入りやすく、根音から入るよりもインパクトがあるメロディーが作れると考えたのではないかと私は考えています。
しかしリズムからしてBOOWYを彷彿とさせるので、純粋に作曲者がBOOWYファンであった可能性は否定できませんがw
|A |AM7onG# |Em/G |F# |Bm |G |E7 |E7|
|I | IM7/VII |Vm/VII♭|VI |IIm |VII♭|V7 |V7|
よく見ると3つ目のコードから他の曲とは微妙に違うんですwついついVII♭が気になってしまうので注目してしまうのですが、VIIdimの代わりにサブドミナント・マイナーであるVII♭を使ったというのはこじつけに感じますよね。ロックな使い方といえばそうなのですがw
これは下属調でもあるDメジャーが進行していると見たほうが良いかもしれません。試しにF#mを入れてみると…
|A |AM7onG# |Em6/G |(F#m) F# |Bm |G |E7 |E7|
|I | IM7/VII |Vm6/VII♭|(VIm) VI |IIm |VII♭|V7 |V7|
なにやら複雑化してきたみたいですが、前半はさんざん語ってきた例の形のクリシェをAメジャーで構成しているように見えます。しかし、同時にDメジャーのコード進行にも見えてきます。特に後半F#からは思いっきりDメジャーから引っ張ってきています。VII♭のところで「おやっ?」と思った方は、そこが完全に転調しているように聞こえたからであって、無理もありません。AメジャーならG#dimコードが入ってきますので全く違う感じになるでしょうから。こういう使い方は面白いですね。Dメジャーで3645を作っています。転調の方法でわかりやすい解説ページを見つけたので参照してください。
作曲カウンセリング 転調~その3~ :作曲の方法・理論
http://sakkyoku.info/?p=502
ただ私が使ったら「イエモンのパクリ」って言われるでしょうねw
リズムとコードが同じだったとしてもメロディーに多少なりとも変化をつければ曲は変わりますが、今回はあまりに反復による強調を意識しすぎたことと、歌手の音域などの制約によってこうならざるを得なかったのでしょう。その分耳残りの良い曲を生み出すことが出来たという狙いは達成されていると思いますけど。
楽曲名:AKB48 22ndシングル(Type-B収録)-アイスの口づけ
アーティスト:AKB48
作詞:秋元康 作曲:矢吹香那 編曲:増田武史
レーベル:キングレコード
増田武史・矢吹香那 スマイルカンパニー(作曲家・編曲家)
http://www.smile-co.jp/list/composer_arranger.pdf